うるわしの二人
二人とも、どうしてそんなにうるわしい......
1.麗しきシナイモリ
一人目は言わずもがな、ちっちゃイモリ代表ことシナイモリ。
中国からやってきたそうな。
写真なんかで見るとアカハライモリと酷似しているが、実物は結構異なっている。
特に大きさの違いは顕著で、シナイモリのほうが二回りくらい小さい。
成熟しても、せいぜい成人男性の薬指くらいの大きさである。
上の一文、セイセイうるセイ。
皮膚の質感もそれぞれ特徴があり、アカハラが若干ざらざらしているのに対して
シナイモリはかなりつるんとしている。
上に述べた大きさも相まって、一般的感性に照らし合わせると
キャッチーなキュートさはシナイモリに軍配が上がると断言して差し支えないだろう。
『飼育しやすい』という情報が散見されるが、ハナ(筆者)はこれにかなり懐疑的な見方を持っている。
特に我が家のシナイモリは、中国系イモリの流通が途絶えるか否かの時期にお迎えしたWC個体ということもあってか、初期状態が芳しくなかった。
そのため何匹か落としてしまったのだが、凹みながらもしつこく経過を観察。
陸を多めにしたほうが調子があがることに気が付き、現在はほとんど陸飼いに移行し、見たところ健康状態は良好である。
一般に『アカハラと同じような環境で飼える』と謳われているが、少数ながら我が家と同様に『陸を好む個体もいる』という意見も見られる。
「イモリ自体、ペットとしてマイナーだから決まりきった答えがないのか」
「だったら目の前の生体と対話しながら答えを見つけてゆくしかないのか」
私に、気づきと決意をくれた、結構トクベツなイモリなのである。
そして、正直なところ、かわいいながらにちょっと面倒なイモリでもる。
というのもこやつら、陸飼いのほうが安定するくせして、湿度は結構好むのである。
そりゃあ私だって、日がな一日きみたちに霧吹きしてやりたいけれども
イモリストとして生きる傍ら、社会の歯車もやっているんだもの......
ああ、どこかに抜群の保水力で見目うるわしい、そんな都合のよいやつのいないものか。
2.潤しきミズゴケ
ここでは「うるわしき」と読む。
一見、存在しそうな言い回しだが、残念ながらそんな日本語はない。
そして話を本題に。
この姿、少しでも園芸をやっている人ならピンとくるはず。
そう、洋ランの植え付けなどでお世話になる、あのミズゴケの生きた姿である。
『名は体を表す』とはよくいったもので、こちらのミズゴケは尋常ならざる保水力をもっており
彼らを味方につけられれば、陸飼い・湿潤という、わりとピーキーな環境をケージ内に実現することができる。
なにより、ミズゴケ自体が極めてローメンテナンスな存在であり且つ、旺盛に増殖するため
ハマる環境さえつくってしまえば、あとはこっちのもんである。
上の画像など、いまでこそみなさんもおなじみのグラステラリウム3030の床面を覆いつくしているが
元の株は恐らく、手のひらで難なく掬い取れるくらいの量しかなかったと記憶している。
植栽に際して、用土は赤玉土をおすすめする。
これを厚く敷き、”底に水は溜まらないが、用土そのものは極めて湿っている”くらいの状態を維持すれば、あとは勝手に増える。
新しい水を好むので、イモリウムの場合は鉢底ネットを筒状にして植え込み、排水できるようにしておくとよい。
このあたりの排水に係る仕組みは、イモリストの必修科目であるからして、各自で調べてもらったほうが確実である。
その他、生体導入前に植物活力剤(メネデール)などを規定量よりさらに希釈し用いたが、これは自己責任で。
ともかく、使いこなせれば便利なことこの上なしの植物であるため、一度育ててみることをおすすめしたい。
以上、潤えよ麗しく、”うるわしの二人”。