結局のとこアカハラ
「私もイモリ飼ってみたいんですが、おすすめの種類ってありますか?」
聴かれたことない、こんなこと。
聴かれてみたい、こんなこと。
聴かれてないのに、答えてしまおう。
ブログてきっと、そんなとこ。
結局のとこアカハラ
気付けばイモリ飼育8年目。
そんなにたくさんの種を育てたわけではないけれど
たぶんこの先、何年たっても「結局のとこアカハラ」と言っていると思う。
その理由をお答えしましょう、聴かれてなくても。
1.水棲種であること
たぶん賛否あろうが、賛成のほうが多いはず。
水棲種はイモリ飼育初心者にやさしい。
その理由は大きく以下2点。
①餌付けがしやすい
イモリは食に貪欲だ。
部活帰りの男子中学生もかくや、という勢いでガツガツと飯を食う。
その癖、飼育下ですぐに餌付くかというと、それはそれで出たとこ勝負みたいな節があり
図書委員の女子中学生もかくや、という繊細さも持ち合わせている。
基本、拒食を生じた個体は予後が悪く
そのまま死んでしまうことも珍しくない。
この傾向は特に陸棲種に顕著であり、
ピンセットでの給餌に少々テクニックを要する(これ、いつか書こう)ことも相まって
陸棲種の飼育難易度が高いと目される、主たる原因であるといえよう。
その点、水棲種は楽だ。
人工飼料に餌付くまで、時間を要することはあれども
冷凍アカムシを溶かしてぶち込んでおけば、興味を示さないということはまず無い。
これで餌付かないのであれば、恐らく給餌以外の飼育になにか問題があると判断して差し支えないだろう。
餌付けが容易で且つ
餌付くか餌付かざるかを健康のバロメータにできるという点で、飼育のハードルがぐっと下がるはずだ。
②皮膚病のリスクが低い
≒容器にカビが生えにくい
イモリ、というか恐らく両生類全般はウロコをもっていないため皮膚が脆弱である。
その癖、生命活動に必須である呼吸をその皮膚に担わせるというバグっぷり。
まぁこの歪な進化が愛おしくもあるのだが......
ともあれ、皮膚が健康に対して担うウェイトが恐らく他の生物より大きいことは間違いない。
そこで天敵となるのが、飼育容器のカビである。
陸棲イモリの飼育とは、半ばカビとの闘いといっても過言ではない。
カビは中途半端な湿度でもっとも旺盛に繁殖し
容器が蒸れると指数関数的に増えてゆく。
この湿度・蒸れ・通気という概念は理解するのがなかなか困難なため
いつかこれらをフォーカスした記事を書こうと決心しているのだが
いまは話を戻し、飼育容器にカビが発生するとどうなるのかを考える。
結論:イモリが皮膚病になる
やつら、先述のとおり呼吸を皮膚に依存するとかいう暴挙に出ているくせして
ウロコも備えず、その防御にはまったくの無関心なのである。
ましてや地面の浄不浄など毛ほども考えていないであろう愛くるしいアホ面で
カビのあろうとなかろうと、お腹の一切をあずけてしまうのである。
こうなると皮膚病まっしぐら。
拒食にはじまり、皮膚や指が溶け、そのうち死んでしまう。
その点、水棲飼育には比較的このような心配が少ない。
もちろん、感覚がつかめるまでなるべくこまめに水替えをして欲しいが
過度に神経質にならずとも即座に健康を害するようなことはほとんどないといってよいだろう。
2.野生の姿をお手本にできる
飼育当初、「少なくとも元気そうにしてくれてはいるが、果たしてこれでいいのだろうか」と
思ったのは一度や二度でない。
私以外のイモリスト(注:造語)も、この経験はあるはずだ。
その際、”野生では実際にどのような環境で暮らしているのか”を参照する以上の答え合わせはないだろう。
安全とマナーに十分配慮したうえで、ぜひともフィールドワークに勤しんで欲しい。
いろいろな気付きがあるだろうし
「図らずもここは自然と再現できているな」と自身の飼育環境の良いところも見つかるはずだ。
そして、できれば見つけたイモリはそっとしておいてあげて欲しい。
終生飼育する確固たる自信があるなら話は別だが、そうでないなら遠くから見守るだけにとどめよう。
当然、具体的な生息地を不特定多数の人に知らせるのもNGだ。
ただでさえ存在の曖昧な生きものだ。
誰かの悪意に曝されてしまえばたちまちケセランパセランと同じカテゴリの都市伝説的存在になってしまうだろう。
3.安い
こんなインターネットの辺境も辺境の個人ブログから情報を収集してまで
イモリストになろうって御仁だ。命をぞんざいに扱うお方なわけがねえ。
そんな立派なイモリストのたまごが、お財布事情のどうのこうので足踏みしちまうなんて見ちゃいられねえ。
アカハライモリなら、お手頃ですぜ。
......マジな話、アカハラだったら店舗によってはワンコインで手に入る。
国内種なので輸送で健康状態がどうこうとかも、基本的にはあり得ない。
もしもあなたが上記のとおり、イモリに興味をお持ちで、あと一歩が踏み出せない理由がお値段である場合
まずはアカハラ、育ててみませんか?
以上、マイナー界隈のメジャー的存在、”結局のとこアカハラ”。
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